美術館の展示内容による客層の違いを観察するのは面白い。
シャネルの展覧会ともなると、さすがにオシャレ感度高めな人たちが多かったです。そして9割が女性。
シンプルながらディテールに凝ったドレスが黒い空間に浮かび上がります。驚くほど繊細な手刺繍やレース生地が使われているのですが、それらが主張しすぎることはなく、全体としては控えめな印象。
そしてかの有名なシャネルスーツ。それまで何世紀も続いてきたドレスの歴史からスーツへの転換は、今の時代から想像もできないほどセンセーショナルな出来事だったのではと思います。
今日のシャネルスーツが生まれたのは第二次世界大戦後の1954年。戦争によりアトリエを閉鎖していた彼女は、70歳を超えてファッション界に復帰したのでした。すごい。
近くで見ると、上品でエレガントなのはもちろんですが、実用の面でも優れていることが分かります。堂々と前を向いて歩く、活動的な女性の装い。個人的にはシャネルスーツといってまず思い浮かべるのは、ジャクリーン・ケネディです。
「CHANEL N°5」の初代(1921年)の香水瓶も印象に残りました。少し歪んだ瓶に、現代のものより細く小さな字体で表現された「N°5 CHANEL PARIS」のロゴ。一つ一つのパーツが絶妙なバランスで、しばし見とれてしまいました。
その他、シンプルな洋服とは対照的に、豪華で大ぶりなジュエリーもたくさん紹介されていました。確かにシャネル本人の写真を見ても、必ずたくさんのアクセサリーを付けいて、これが彼女の「スタイル」だったようです。
約1時間、エレガンスな世界に浸ることができました。
ところで「エレガンス」という言葉から10年以上前にNHKで放送されていた「ティム・ガンのファッションチェック」を連想するのは私だけでしょうか。彼は挑戦者(一般女性と思われる)たちが履くレギンスを「エレガントじゃない」という理由でとにかく嫌っていました。
元気かなぁ、と思っていたらお元気そうでした。