行こうかどうか迷ったけど、見逃さなくて良かった。本当に。
本展では、ピカソの生涯に渡る作品をはじめとするベルリン国立ベルクグリューン美術館の比類のないコレクションにより、20世紀美術の精髄をご紹介します。
比類のない。精髄。
そしてベルクグリューンさんという人の、個人コレクションというのも気になります。ベルクグリューン美術館改修中の展覧会ということで、日本でまとまって見られる機会は今後無さそう。
夏に行った「ルートヴィヒ美術館展」も同じくドイツにある、20世紀の作品を所蔵する美術館を紹介する展覧会でした。
あちらは多彩さが際立っていた印象ですが、こちらはピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティの4人にギュッと絞られていて、ベルクグリューンさんの思い入れを感じました。もちろん、どちらも素晴らしいってことです。
パブロ・ピカソ「女の肖像」1940年
『失われた時を求めて』で読んだ、恋人の顔の印象が移り変わっていくシーンを思い出しました。接近し過ぎると輪郭が消えて歪んで見えるという描写です。
何のこっちゃ、かもしれませんが、プルーストが書くと凄いのよ(語彙力)。
作品数は少ないですが、ジョルジュ・ブラックとセザンヌも出品されていました。最近、セザンヌが気になっていて。
というのも、「近代絵画の父」と言われているセザンヌの、一体どこがそんなに凄いのか、ということについてです。
微妙に歪んだ画面構成には、実は綿密な計算がなされているとか、ピカソが唯一、師と仰ぐ画家だとか。絵自体は、素人目には地味に見えるのですが。
パブロ・ピカソ「丘の上の集落(オルタ・デ・エプロ)」1909年
初期のこのような作品を見ると、セザンヌの影響を感じます。
それから、ベルクグリューンさんは額にもこだわりがあったそうです。絵との組み合わせにも注目。
【写真】上野公園の銀杏は紅葉真っ盛りでした。