B面のつぶやき

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クリストとジャンヌ=クロード”包まれた凱旋門”展

2021年9月の16日間、パリの凱旋門が銀の布でラッピングされたのをご存知でしょうか?日本でも少しだけニュース番組で取り上げられました。

1935年生まれのクリストとジャンヌ=クロード夫妻は、1958年からラッピングの作品を発表しています。日用品から始まり、海岸、歩道、橋、議事堂と作品は巨大化。凱旋門が最後の作品となるのですが、1961年頃には、既に構想があったそうです。パブリック・アートが一般的になる前の時代のこと。

クリストとジャンヌ=クロード 写真パネルより

六本木の21_21 DESIGN SIGHTの展示は、映像などの資料により、凱旋門プロジェクトの準備から実現までを追体験できる構成になっています。その過程をみると、途方もないプロジェクトだったことがわかります。

まず構想60年というのがすごい。関わった人の数もすごい。人件費を含めた費用すべて、作家や財団の自己負担というのもすごい。自由な制作活動を守るため、彼らは作品を積極的にお金に変えました。

凱旋門は、当然のことながら石造りの建造物でビクともしません。が、布で覆われたことで、風が吹けば揺れるという、有機的な雰囲気をまといます。隠されたことで本質が表れる、とプロジェクトチームのひとりがインタビューに答えていました。クリスト氏は生前、自分たちの作品が巨大だと感じるのは、それが「無用の長物」だからだと言っていたとも。

映像で制作過程を見ることができます。

彼らの作品がアートなのか?という議論は昔からあったそうです。怒られるかもしれませんが、途中から「これはもしかしたら、超スケールの大きい"やってみた”では…?」と思ってしまいました。

アートの定義など難しいことは分かりませんが、このビックプロジェクトは多くの人が共有する、記憶に残る体験だったことは疑いようがありません。そして、やってみちゃった皆さんに、心から拍手👏


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©Christo and  jeanne-Claude Foundation