B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

シルバーウィークのはなし

明日からシルバーウィークという18日の金曜日、国立新美術館の夜間開館へ行った。そう、連休のスタートは休日の朝からじゃない、前日の夜から。

国立新美術館の「ルーヴル美術館展 ルネサンス」は、もちろんレオナルド・ダ・ヴィンチの『美しきフェロニエール』(通称)が目当て。正面から鑑賞するために会場内の列に並ぶというシステムで、当然並んだ。名画中の名画がほんのすぐそこにあるんだから、そりゃ並ぶよね。うん、満足。

工芸作品に注目すると、実物の動植物から型を取るという「田園風陶法」の生々しさが印象に残った。この技法の開発者、ベルナール・パリシーは科学者でもあったそう。ルネサンスの時代はダ・ヴィンチのように分野を跨いで活躍する人がけっこういたのかもしれない。

19日は府中市へ。府中といえば競馬場?いいえ古墳群です。そのうちの武蔵府中熊野神社古墳は全国に5基しかない上円下方墳です(推定されているのはもっとある)。古墳はわりと見に行っている方だと思うけど、上円下方墳は未経験ゆえ行かねばなるまい。

実物を目にした感想は「小ぢんまり」。そもそもこの形は前方後円墳でいう「方(四角)」の上に「円」を乗せた形という説もあり、都市型進化系?の古墳とも言えなくもない。ただ小さいとはいえ三段構造の一段目は1辺32mで、小型円墳の高松塚古墳(奈良県)は直径23m。あちらは整備された公園内にあり、こちらは住宅街のど真ん中である。周りの環境でもだいぶ印象が違うのかもしれない。一車線道路を挟んだ向こうには保育園があった。

コンクリートの舞台のような部分が一段目。石で覆われた四角い部分が二段目、円形部分が三段目。

復元前はこんな感じだったみたい。一見ただの小山が古墳だったパターン。

online.bunka.go.jp

以前行った高松塚古墳の写真も見て。緑に覆われた古墳も好き。

20日は東京都現代美術館『共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし』へ。台湾の美術作品200点と資料500点、日本の作品100点。膨大な展示物がインスタレーションのように作り上げられた空間に並ぶ。この網の目のような展示空間に放り込まれるわけで、鑑賞する姿勢も問われるような大変な展示でありました。私は何を見て何を見ていなかったのか…。いまでも反芻している。

同時開催の『多田美波―光、凛と ゆれる』は、反射したり、光ったり、見ていて飽きない。集中力が要る『共時的星叢』とは対照的に、「きれいだな」という心地よい感情が自然と湧く。その後はコレクション展、さらにカフェでパフェを…という計画だったけど、台風が心配でここまで。駅からのアクセス悪い問題。

21日は台風で一日中自宅にお籠り。休日も起床時間を変えない習慣なので、6時に起きて少し念入りに掃除。バスタブのエプロン部分を外したり、ガスコンロの下を拭いたり、やれやれ終わったと時計を見るとまだ9時前だったりする。NHKプラスで『団地のふたり』、アマプラでヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』を見るなどしてダラダラする。それにしてもヤン・シュヴァンクマイエルが配信で観られるなんて、レンタルビデオ屋で探しまくった昔の自分に教えてあげたい。一方、前日の台湾気分で見たかった『非情城市』は無かった。残念。

22日、ニュースで見る千葉の実家周辺の豪雨被害が想像以上に酷い。実家自体は無事だけど、少し離れた川沿いの橋は通行止めになっていた。あのあたりに家があるはずのあいつは大丈夫だろうか、と卒業以来会うことも無い同級生の顔が浮かんだりする。

久しぶりに天気が良いので池袋に向かうと、同じように晴れを待ち望んだ衆で電車も街も混んでいた。何度か買い物に来たことのある友誼食府(中華系スーパー)併設のフードコートに初めて行く。もう少し「ガチ」っぽいと思っていたけど、日本人向けのメニューにリニューアルされたのかもしれない。ワンタンや肉まんなど、炭水化物祭りとなってしまった。

その後はジュンク堂書店で心を養う予定が、なんと一帯が停電で休業。近くのカフェでは照明が消えた店内でコーヒーを飲んでいる人もいて、停電直後のようだった。せっかくなら前触れもなく電気が消えるその場にいてみたかった、惜しかったなどと思うのは不謹慎ですか。

23日は献血へ。21日に予約を取っていたけど、台風が来るので予約を取り直した。いつもの血漿採取。血小板採取は具合が悪くなるので、自分に残された道は血漿か200ml献血だけということになろうか。実践する数少ない善行であり、できればコンスタントに通いたい。そのためには献血ができる程度の健康な体でありたい。

鰻と盆踊りの8月

ネットで見つけたビリヤニ屋に行って、満足して店を出た。随分古い建物だなと思いながら眺めていると、木製の引き戸の取っ手に鰻がデザインされていることに気づいた。引き戸1枚につき、上から膝下くらいの高さまで細長いガラスが3枚はめ込まれている。ガラスとガラスの間の木の部分には、竹のような節がある。その竹を下までたどっていくと、今度は水面が現れる。水面を表現した曲線に木目模様が重なっていて、思わず「狙ったね!」と、心の中で呟いた。

8月は鰻を食べに行く機会が2回もあって、なんとなく鰻に縁がある月だった。

そして8月と言えば夏祭り、盆踊りである。去年、小学生の時以来の盆踊りに参加したのです。ほら近年、東京では盆踊りが盛り上がっているじゃないですか。恵比寿駅前とか渋谷駅前とか。そんなに良いものだったけ?と思って、試しに参加してみたら、良かったんです。

もちろんちゃんとは踊れなくて、盆踊り玄人みたいな人の見よう見まね。それでも結構楽しくて、来年も来るぞと誓った。今年も7月後半からSNSで開催日をチェックしつつ、基本の曲(東京音頭、大東京音頭、炭坑節、八木節、恋するフォーチュンクッキー、+α)を動画で予習して当日を迎えた。

さてその日、夕方になると涼しい風も吹く絶好の盆踊り日和となった。会場の隣駅に向かうと、ななんと、自宅のすぐ近くの小学校でも盆踊り大会が始まるところだった。え、やっぱり盆踊りってブームなの!?出店もあってなかなかの盛況ぶりで、ここでも良いのでは?と夫氏と相談。しばし様子を見てみて、子どもが多いから恐らく子ども向けの曲が多いであろう、我々は大人の盆踊り(?)がよろしかろう、ということで、当初の予定通り隣駅に向かった。

駅前には立派な櫓が立っていた。もちろん恵比寿駅や渋谷駅のような規模ではなく「地元」っぽいのが良い。浴衣をキメた自治会の皆さん、お揃いの半被を着た太鼓サークルの皆さん。時々挟まれる区長や議員の挨拶。盆踊りだわ…。

基本の曲と去年流れた曲も一応押さえていたけど、それでも半分以上知らない曲であった。盆踊り曲ってどれくらいの数があるのだろう。未知の曲でも輪に加わって踊ることが重要で、何となくそれっぽく手足を動かし、ビートを体に受けるのだ。誰も気にしてない、大丈夫。どこかの誰かが「盆踊りはraveである」と呟いていたけど、多分そう。八木節が沁みる。

来年は1回といわず、3回くらい行きたい。テレビで見た「すみだ錦糸町河内音頭」も気になる。生歌に合わせて踊るというのが新感覚。

ところで一番かっこいいと思う盆踊り曲は、都はるみが歌う「新君津音頭」ですよろしく。

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※これが例の引き戸です

7月を振り返る

東京交通会館の銀座スカイラウンジで、「パフェ マロンシャンテリー」を食べた。誕生日ケーキ代わりにご馳走になった。東京交通会館は取り壊しの噂もあるので、意識して矢橋六郎のモザイク画を眺めた。

美術展は東京都美術館のアンドリュー・ワイエス展、SOMPO美術館の山口華楊展、東京国立博物館の空海と真言の至宝展に行った。

アンドリュー・ワイエス展は評判が良いので最終日直前に駆け込んだ。有名な『クリスティーナの世界』のクリスティーナさんをモデルにした『クリスティーナ・オルソン』という作品があって、実物に近いと思われるクリスティーナさんの横顔が見られた。はたと『クリスティーナの世界』に描かれた後ろ姿の女性は、クリスティーナさんではないかもしれない、と思った。タイトルが『クリスティーナの世界』だからといって、クリスティーナさんを描いたとは限らない。
※『クリスティーナの世界』は展示されていません。

山口華楊は、名前は知っているけど、どんな作品を描いた人かピンと来ていなかった。国立近代美術館の『洋犬図』が展示されていて、ああ、この絵を描いた人かと気付いた。猿、狐、黒豹などなど動物の絵がたくさん。アンドリュー・ワイエス展もだけど、スケッチや下絵の展示も豊富で、この絵が最終的にこうなったという試行錯誤が垣間見られて面白い。

空海展は国宝や重文がたくさん出ていて行かなきゃソンみたいな気分になった。秘仏まで見られて、長年これらの仏像をお守りしている檀家の皆さんに申し訳ないような気もした。秘仏では無いが、金剛峯寺の快慶作『深沙大将立像(じんじゃだいしょうりゅうぞう)』、執金剛神立像(しゅこんごうしんりゅうぞう)に見惚れる。一番目当ての『信貴山縁起絵巻 飛倉巻』も見られて満足。最後の1室が撮影可能ゾーンで、国宝の『五智如来坐像』(写真)を360度ぐるっと見ることができる。ちょっと下膨れのお顔。ありがたすぎて、子どものころ葬式・法事の度に唱えさせられた光明真言が蘇った。覚えているもんですね。混雑が心配だったけど、金曜の夜間開館はそれほどでもなかった。

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それから板橋区立熱帯環境植物館にも行った。板橋区は美術館、こども動物園、植村冒険館(植村直己についての資料展示)など、公立の文化施設が充実している気がする。ちなみにこの三つは全部は履修済み。植物館も大人360円で結構楽しめた。植物メインだけどちょっとした水族館もある。エイがいてびっくりした。

読書は『いきと風流』(尼ケ崎彬)、『身体の美学入門』(伊藤亜紗)、『日本中世の民衆像 平民と職人』(網野 善彦)。

そんな7月でした。