B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

マティス 自由なフォルム|国立新美術館

去年(2023年)の東京都美術館での回顧展以来、好き度数が倍に上がったマティス、今年もマティス展やってるじゃん。で、行ってきました。

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マティスの魅力は様々ありますが、作品の数もヴァリエーションも多いというのもひとつ。絵画、版画、彫刻、切り絵、ドローイング、デザインと様々です。本展は切り絵に力を入れていますが、それ以外もたっぷり鑑賞することができます。

今回特に見たかったのは『ブルー・ヌードⅥ』です。4作あるシリーズの最初の作品。Ⅵだけど最初ね。3作品と違うのは、ドローイングの跡が残っていること。紙の切り貼りがうまくいかなくなるとドローイングを始め、また紙に戻るという作業を行っていたそう。紙を貼っているだけなのにこの存在感って何だろう。

それから『マティス夫人の肖像』。フォーヴィズムの傑作中の傑作『緑の筋のあるマティス夫人の肖像』と同じ年に描かれたものです。黄土色、苔色、ピンクで塗り分けられた肌、一方は黒、もう一方は赤っぽい瞳、背景には水色。色彩が輪郭線とぶつかる様に野獣(フォーヴ)を感じ取った当時の批評家の驚きが分かるような気がします。

マティスが建設に携わったヴァンスにあるロザリオ礼拝堂を再現したコーナーも良かった。陶器のタイルに黒インクで描かれた聖ドミニクス、十字架の道行、聖母子の像と燭台、ステンドグラスなどが配置され、ステンドグラスから差し込む光の移り変わりをを映像で再現しています。写真と比較しても良くできている。

清貧を重んじるというドミニコ会にふさわしい簡素な空間に、マティスデザインの鮮やかな上祭服姿の修道士たちが映えるんだろうな。行ってみたいよな…。

こちらは日本で最初の展覧会(1951年)を記念して、マティスが表紙をデザインしたという別冊文芸春秋です。個人蔵。当時買った人がそのまま所有していたとすれば偉い。

※一部撮影可

猪熊弦一郎マティス愛があふれる一冊。

表紙はマティスが描いたルオー、裏表紙はルオーが描いたマティス