B面のつぶやき

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ルーブル美術館展 愛を描く|国立新美術館

ヴァトー、フラゴナールブーシェの「ロココ三兄弟」が一度に見られるのは、さすがルーブル展という感じ。三兄弟って、もちろん私が勝手にそう呼んでるだけです!

本展のテーマは「愛」というわけで、自由奔放な表現が特徴のロココ絵画は親和性が高い。ヴァトーの「雅なる宴」の追随者であるニコラ・ランクレやジャン=バティスト・パテルもしっかりラインナップされています。

「雅なる宴(フェート・ギャラント)」というのは、戸外での男女の戯れを表したロココ時代に流行した画題の一般的な呼称です。元々はヴァトーの『シテール島の巡礼』(1717年、本展の展示無し)という作品の別名であったのが、徐々に様式の名称となったようです。それほど『シテール島の巡礼』は革新的な作品だったといえます。

今の時代からすると「ロココの何が革新的?」と思うのですが、それより前は絶対王政の時代。正確なデッサン、秩序ある構図といった理知的要素が重んじられていました。1715年に太陽王ルイ14世が亡くなると、窮屈な時代の反動が起こり、芸術活動にも軽妙洒脱さ、感覚的、日常的といった特徴が顕著に現れます。流行の服装に身を包んだ男女が楽しそうにわちゃわちゃしてる、そんな絵を見ながら当時の人たちは新時代を感じていたのかもしれません。

本展では、第1章「愛の神のもとに」でヴァトーの『ニンフとサュロス』(1715-1716年頃)が展示されています。彼には珍しい神話画ということです。ギリシャ神話において、愛とは力づくで手に入れるもの。愛の発端は一目惚れ。一方的に「見る」行為が欲望を引き起こすのだそうです。そして男性は力、女性は魔力によって愛をかなえようとします。忙しそう。

第2章の「キリスト教の愛のもとに」では、聖家族、殉教、法悦などを描いた作品が紹介されています。放蕩息子やマグダラのマリアなどの有名なモチーフも。ルイ14世時代の宮廷画家、シャルル・ル・ブラン『エジプトから帰還する前の聖家族』(1655年頃)はキリスト、マリアより聖ヨセフ(大工の守護聖人)がメインに描かれていて、注文主が大工の組合というのも納得です。こちらは古典主義の作品なので、ロココ絵画と比較すると違いがわかるかも。

第3章は「人間のもとに」。オランダでは17世紀、フランスでは18世紀頃から現実世界の人間の恋愛が描かれるようになります。先ほどの「雅なる宴」時代到来です。本展の目玉、フラゴナールの『かんぬき』(1777‐1778年頃)もこちら。舞台の一場面のよう、という解説のとおり、ドラマチックな場面です。女性の表情が何とも言えない。

ジャン=パティスト・ルニョー『「快楽」の抱擁からアルキピアデスを引き離すソクラテス』(1791年)は、ロココ絵画からの揺り戻しのような「新古典主義」の作品です。なんでまた急にソクラテス?と思うのですが、新古典主義の画家に好まれたモチーフだそう。ダヴィットの『ソクラテスの死』(1787年メトロポリタン美術館所蔵)が代表的です。

最後の第4章は「19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇」。ここだけ撮影可能です。新古典主義の一方で、反古典主義的なロマン主義というムーブメントも起こりました。ロマン主義個人主義、自我の解放などと説明されています。特徴のひとつに、実際の事件を感情に訴えるような荒々しいタッチで描くということが挙げられます。ロマン主義の画家、シャセリオーやドラクロアの作品が展示されています。ここまでくると近代まであと少し。でも今回は終わりッ!

この展覧会はグッズも充実しています。去年のメトロポリタン美術館展に続き「すみっコぐらし」コラボのマスコットがかわいいんですけど…。それからフェイラーコラボのハンカチも良いわぁ。思わず欲しくなります。買わんけど。

※作者やタイトルの表記は出品目録に合わせています。

西洋絵画はギリシャ神話の予備知識があると面白い。