B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

デイヴィッド・ホックニー展|東京都現代美術館

現代美術作家の大御所、デイヴィッド・ホックニー(1937~)の展覧会に行ってきました。大好きな現代美術館にて!

『ダブル・ポートレート』のシリーズからは『クラーク夫妻とパーシー』、『両親』、『ジョージ・ローソンとウェイン・スリープ』3作品。自宅と思われる室内を背景に二人のモデルの全身像がリアルに描かれています。

モデル同士、モデルたちと作者、それぞれの関係性をポーズや視線や、置かれた小道具などから想像してみる。例えば『両親』。鏡、「CHARDIN」というタイトルの本、父親のうつむいたポーズ。モチーフで謎解きというのは西洋絵画の伝統でもありますし。

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ホックニーは、ある時期、遠近法をわざと無視した作品をたくさん描きました。肉眼で見る世界は、写真に写した世界とは違う考えたようです。確かに、目の前のものを見るときの視線や身体は常に動いているもの。写真は空間的・時間的な動きは排除されます。それはほんものではない、と気付いたときが長い試行錯誤の始まりでした。

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さらに時代が進むと、鑑賞者に見ることの複雑さを体験させるような作品が登場します。木々に囲まれた田舎道をゆっくり進んでいく映像が、3×3の9枚のモニターに映し出される『四季、ウォルドゲートの木々』。モニターごとに被写体の動きが微妙にズレていて違和感なのだけど、徐々に風景が迫ってくるような感覚になります。

竜安寺の石庭を歩く、1983年2月21日、京都』などの写真作品も、目の前のものを見ているように表現することを目指した作品といえます。主観的に、自由に。若いころ衝撃を受けたという、ピカソの「画風を自在に変化させる創造性」を、しっかり引き継いでいるのだな。

全長90メートルの大作『ノルマンディーの12か月』。ipadで描かれたということでも話題。

ホックニーさんは今日も、ノルマンディーで絵を描き続けているそうです。