B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

MOMATコレクション|東京国立近代美術館

所蔵作品展「MOMATコレクション」に行ってきました。ゆっくり見たかったので企画展が無いときを狙って。思惑どおり超快適な鑑賞環境でした。

目当ては新たに収蔵された風間サチコの『セメント・モリ』(写真)。そして牛腸茂雄の写真作品『SELF AND OTHERS』です。

風間サチコ作品は、つい先日森美術館で見た『獄門核分裂235』、たまたま読んだ「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」で取り上げられていた『ディスリンピック2680』、『ゲートピアno.3』と、目にする機会が重なりました。

どれも強烈な印象で、気になりググってみたらMOMATで展示されるとのこと。こりゃ~行かねば。

『セメント・モリ』は「エコとエゴ」と題されたコーナーに鎮座しています。

脚絆に草鞋履きで手にはツルハシという前時代的な服装と、ヘルメットとドリルの現代的な装備。古さと新しさが混在した出で立ちの炭鉱労働者風の人物が5人。

ただしよく見ると、真ん中の人物だけ、ヘルメットとドリルは消され、足元には積み重なった立方体が書き加えられています。

その人物のすぐ目の前に据え置かれた棺桶を思わせるセメント製の「台」。つまり、真ん中の人物は死者であることが示されています。もしかして、この亡霊は自分の墓を掘り返している…?

風間サチコの作品は、過去から現代に続く人間のエゴへの疑問や未来への不気味な予感に満ちています。今月末から個展があるようなので、要チェックであります。

SELF AND OTHERS』は、写真集を手放してしまったのが悔やまれるのですが(森山大道は手放してもこれは持っていれば良かった)、こうしてプリントで見ることができてうれしい。

今回の展示とは関係ありませんが、佐藤真監督で、同タイトルのドキュメンタリー映画もあります。夭逝した牛腸茂雄の足跡を追うという内容。静かで美しい映像。いつかまた、見る機会はあるかな。

もうひとつ、遠藤麻衣×百瀬文の『Love  Condition』が良かったです。あまり具体的なことをブログで書くのは憚られるのですが、「理想の形」について会話しながら粘土で作り上げるという映像作品です。

常識への違和感を露わにし、繰り返し考え続けること。延々と続くふたりのおしゃべりのように、その行為に終わりはありません。