B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン|アーティゾン美術館

アーティゾン美術館の「ジャム・セッション」、第4弾は山口晃です。『すゞしろ日記』は好きですが、実物の作品をきちんと見たのは初めて。

不思議なタイトルの「サンサシオン」は、感覚やセンセーションという意味のフランス語で、セザンヌが良く使った言葉だそうです。

冒頭の『汝、経験に依りて過つ』は、鑑賞者のサンサシオンを揺さぶります。目の錯覚を利用したトリックが使われており、体感、ひいては感覚を開かせる舞台装置。足元にご注意くださいませ。

山口晃によるセザンヌの『サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール』(アーティゾン美術館収蔵)の解説は、大変、たいっへん、興味深かったです。

絵を描く人ならではの内容で、キュビズムセザンヌを誤読した、という指摘には、そうなの??となりました。多視点では無く多視線、立体の捉え方、まだまだ未知の世界です。

セザンヌと並んで取り上げられていたのは雪舟です。この人も難題で、他の水墨画と比べて何が抜きん出ているのかよく分からない。上手いのか下手なのか、そもそもそんな基準に当てはめるのもおかしな話。

自分は見ることが足りないんだな、ということは分かりました。精進…!

インスタレーションあり、マンガの原画あり、はたまたパラリンピックポスターを手掛けた際の葛藤を綴った『当世壁の落書き 五輪パラ編』(写真)あり、もちろん山口晃といえば、の鳥瞰図もあります。

会場全体は不思議な構造になっており、次はどこに行けばよいのだ?と迷いながら進みました。見逃した作品があるような気がして結局2周しちゃった。

展示空間を回遊しながら、ここは感覚を試されている場なのかもしれない、と思いました。己のサンサシオン、大事にしようぜ。