B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

ロスコ、キスリングそして陰陽師

千葉県の佐倉市にある、DIC川村記念美術館国立歴史民俗博物館を巡ってきました。ロスコ・ルームも堪能したし、歴博の『陰陽師とは何者か』の気合が入った展示も見応えあったし、良き休日でした。

ロスコ・ルームには、マーク・ロスコが描いた巨大な7枚の絵画が、7角形の部屋の壁にぐるりと掛けられています。この作品のためだけの特別な部屋。

薄暗い空間に浮かび上がる赤い絵を目にすると、これらの作品が存在していること、いま自分がこの空間にいることの不思議さを感じてしまいます。その答えのようなものが出てくることは無かったのですが。

kawamura-museum.dic.co.jp

その他、印象に残った作品はキスリングの『姉妹』です。何かを心配そうに見つめる二人の少女。じーっと見ていると、後ろに立つ姉の、妹の肩に乗せた右手が浮かび上がってくるようで、さらにに足の向きが、体の向きに対してねじれているようで、何だか変な感じ。画面全体の不穏なイメージと相まって、ちょっと怖い。

すぐ近くには藤田嗣治の3作品が展示されていました。そのうちの『アンナ・ド・ノアイユの肖像』は、白い背景にファッショナブルな女性の像だけがベタッと描かれています。当時のパリの人も、「あ、これ浮世絵だ」と思ったのではないでしょうか。他の西洋絵画と比べるとその特異さが良く分かります。

この美術館のレストランはクオリティが高いそうです。が、我々は駅前で買っておいたコンビニおにぎりで腹ごしらえを済ませたのち、無料バスで博物館へ。

常設展示から見ると時間切れになるのは分かっていたので、まずは陰陽師展から。

この展示、かなり詳しい解説がなされていると思います。陰陽師の誕生からその広がり、ライバル関係、歴史の中での立ち位置、その終焉までを学ぶことができます。

映画などの影響で野村萬斎(=安倍晴明)が呪文を唱えているイメージがこびりついてしまっているのですが、それだけじゃないんですよ!という学芸員の皆様の熱いメッセージが伝わってくるようでした。そうりゃそうだ、平安時代から明治維新まで、ざっと1000年間、存在していたんですからね。

じっくり解説を読んでいたらあっと言う間に閉館時間が迫り、常設展は「現代」のみ駆け足で。それでもかなりのボリュームでした。

書籍コーナーには面白そうな本が並んでおり、ついついあれこれと物色。ニコニコ美術館の伊能忠敬記念館の回で気になっていた『国宝伊能忠敬関係資料』を見つけたので入手。この内容で1000円!