北東北(青森、秋田、岩手)のお堂や個人宅などで祀られている素朴なたたずまい。専門の仏師ではなく、地元の大工や木地師(きじし・木工品を作る職人)の手によって作られたお姿は、アタマの中にある仏像こうあるべし、のセオリーを軽々と越えてきます。
じゅうぶんな医療が無かった江戸時代、今よりずっと、死は身近なものだったはず。子どもはもちろん、大人も病や出産などであっけなく死んでしまう。そのうえ自然環境が厳しい土地でもあります。見えざるものへの畏れや救いを求める祈りは現代の何倍も切実だったでしょう。
展覧会は8章で構成されています。
1 ホトケとカミ
2 山と村のカミ
3 笑みをたたえる
4 いのりのかたち 宝積寺六観音像
5 ブイブイいわせる
6 やさしくしかって
7 大工 右衛門四良(えもんしろう)
8 かわいくて かなしくて
笑みをたたえる、とある通り、笑っている仏像がたくさん紹介されています。口元だけ微笑んでいるようなアルカイック・スマイルとは違い、ニコニコ、と言って良い表情です。
もちろん、大真面目に作られたはずなのですが、今の感覚だとどう見ても「かわいい」だよね?と思わざるを得なかったり。いかめしい表情のものも、どこか「抜け」が感じられる。
立派な仏像ももちろん素晴らしいですが、民間仏のプリミティブさは何だかホッとします。たまにしか行かない高級レストランと気楽な定食屋、なんて言ったら叱られるかな。いや、この仏様たちは受け止めてくれるんじゃないかな。
展覧会の監修をされている先生の著作です。
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仏像の基礎知識はこちらで。
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