B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ|国立新美術館

真冬の光を一身に浴びているガラスの壁。国立新美術館は金曜、土曜の夜間開館の日に行くことが多いから少し新鮮だ。

平日だから空いているかもと思ったけど混んでいた。月曜日ってほとんどの美術館は休みだから、美術館に行きたい民はここに集結しているのかもしれない。仲間!

奥行きのある空間に壺がどーんと置いてある、『Gravity and Grace』という作品。壺は全面が動植物をモチーフにした透かし彫りに覆われている。その中に仕込まれた光る物体が上下に動くたびに、足元の透かし模様の影が近づいたり遠のいたりして波打ち際のよう。

謎解きしてみると、壺は文明で、光の球は太陽、あるいはエネルギーということか。よく見ると床にも文字が書かれている。ぼんやり見つめていると、ゆらめく壺の影に引き込まれそうな感覚になる。

照明を落とした薄暗い部屋の中では、大きな布がふわふわと風になびいている。人工的で有機的な作品。『Liminal Air Space』とある。布が境界を表わしているのだろうか。常にたなびく境界のたよりなさ。夜の海を眺めた時のような心細さを思い出す。 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

こういった巨大な作品は、自分の身体感覚がたよりだ。そういうところがちょっとしんどい時もあるけど、代えがたい体験だから、やめられない。