B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

ブランクーシ、どうぶつ百景、鉄骨のゴッデス

なんだかんだとブログどころではなかったのですが、時間を見つけて美術館巡りは継続中。4月から5月にかけて行ってきた展覧会3つ、振り返ります。

ブランクーシ 本質を象る|アーティゾン美術館

卵型の頭部、瞼しかない顔、ギザギザした体から一本の足が生えてる鳥。極端なデフォルメはブランクーシが見つけた「本質」であり、シンプルなフォルムであるからこそ、多面的なイメージを読み取ることができます。

ブランクーシの斬新さのひとつに、作品を「台座」から解放した点が挙げられます。表現対象とは見なされていなかった台座に作品としての意味を与えました。作品本体と台座が異なる素材で作られていることが、当時はとても新しい手法だったようです。

ブランクーシ作品をまとめて見られる機会は貴重。

どうぶつ百景|東京ステーションギャラリー

動物と日本人のかかわりがテーマの展覧会。犬や猫を「さん」付けで呼ぶジャパニーズの感覚は、明治時代に来日した外国人には驚きだったようです。

動物を愛でる人々を描いた浮世絵を中心に、生きものの姿をデザインした工芸作品やおもちゃなど、アレコレ楽しい。

特に見入ってしまったのは精巧に作られた生きものたちの飾りがついた簪や櫛、もうひとつはフランスから来たサーカス団を描いた浮世絵。曲芸について一々コメントが付いていて、当時の日本人の興奮が伝わります。

www.edohakuarchives.jp

鉄骨のゴッデス|POLA MUSEUM ANNEX

銀座にある無料で鑑賞できる展示スペース。久保寛子という作家さんを初めて知りました。新進気鋭の方のようです。

素材に身近な工業製品を使用し、先史の物語を思わせる作品を作り出しています。ブルーシートの土器、セメントでかたどった魔除けのアミュレット、プラスチックネットの動物や女神、などなど。

合理性を追求した製品から生まれる造形美は、民藝の「用の美」を下敷きにしているそうです。当たり前すぎて見向きもされない物であっても、ふとした時に感じる美しさ。作者はそこから神話を作り上げようとしているのかも。

【写真上】『雄鶏』コンスタンティンブランクーシ1924年(1972年鋳造)、豊田市美術館
【写真下】『鉄骨のゴッデス』久保寛子、2024年