B面のつぶやき

美術館、図書館、喫茶店に出没しがちデイズ

吹きガラス 妙なるかたち、技の妙|サントリー美術館

吹きガラスの技法が登場したのは紀元前1世紀頃のシリアだそうです。現在最古のガラスと考えられているのは紀元前25世紀(約4500年前!)に作られたもの(※)。

そこからめぐりめぐって数千年後、「この溶けたガラスに息を吹き込むと形が変えられるんと違うか?」と思い付いて、最初に試したひとりの人間がいるってことがなんかもう…ロマン。ロマンの使い方合ってます?

吹きガラス創成期から現代作家の作品までが辿れる展覧会です。数千年に渡る職人たちの創意工夫や情熱に思わず感動。どの時代のどの作品も美しい。より良く、より美しく、という心意気が伝わってくる気がします。

ガラス作品は見ているだけでも楽しめますが、技法がわかるとより興味がわきます。今回の展示では、作品の制作方法についても解説されています。試験管を並べたような不思議な形の「二連瓶」や「四連瓶」の作り方も、種明かしを見ればなるほど!と思いました。特に、現代のガラス作家たちがいしにえの作品の見どころ教えてくれるパネルは理解の助けになりました。研究者と職人では見えるモノも違うのかもしれません。

ベネチアの超絶技巧みたいな作品も圧巻ですが、古代ローマの手作り感のある作品に心惹かれました。こういうのとか。丸っこくて良い。よく残ってくれたなぁ。

東アジアで作られた作品もあります。制作方法に制約があり、小さくて薄手のものが多いとのこと。華やかさというより、素朴な愛らしさがあります。20世紀に作られた「氷コップ」のコレクションは色鮮やか。モダンガールがカフェでアイスクリンを食べる姿を妄想。

そして、現代のガラスが素材とは思えないような造形作品も紹介されています。これ、本当に割れるの?というものも。「息を吹き込んで形作る」というアナログな方法には、まだまだ可能性が秘められているようです。

(※)参考:一般社団法人日本硝子製品工業会「ガラスまめ知識」